大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和34(あ)119 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人土橋岩雄の上告趣意第一点について。

公職選挙法二五二条にいう選挙権、被選挙権の停止、不停止は刑法九条、一〇条

にいわゆる刑ではないが、刑訴三八一条の「刑の量定」には含まれるものと解すべ

きであること及び第一審判決が懲役刑の執行猶予を言い渡した場合に、控訴裁判所

が何ら事実の取調をしないで、第一審判決を量刑不当として破棄し、訴訟記録なら

びに第一審で取調べた証拠のみによつて、懲役刑(実刑)の言渡をしても、刑訴四

〇〇条但書に違反しないことは、当裁判所の判例とするところであり(昭和二八年

(あ)第五三二二号同二九年六月二日第二小法廷決定、集八巻六号七九四頁、昭和

二七年(あ)四二二三号同三一年七月一八日大法廷判決、集一〇巻七号一一七三頁)、

原審は、検察官が本件事犯と同派の選挙において、同様の買収者たるA外四名は、

いずれも投票買収資金として供与を受けた事実によつて、略式命令により各罰金刑、

公民権停止が確定しており、これらの者に比し、被告人に対する量刑、ことに公民

権の不停止は著しく均衡を失していることを証明すべき事実として検察官の請求し

たA外一名及びB外二名に対する略式命令謄本各一通並びにA外四名の前科調書五

通を取り調べた上、第一審判決を破棄し、被告人に対し選挙権、被選挙権を有しな

い期間を二年に短縮する旨の言渡をしていることが記録上明らかである(二八六丁)。

されば、所論判例違反の主張はその前提を欠き、適法な上告理由とならない。

同第二点について。

所論東京高等裁判所の判例は、その後の当裁判所判例(「刑の量定に関する事項

については、記録上これを認むべき証拠あるをもつて足り、判決に証拠を掲げて説

明するを要しない。」昭和二五年(あ)一一六九号同年一〇月五日第一小法廷判決、

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集四巻一〇号一八七五頁)に牴触する限り判例としての効力を失つたものと認めら

れ、そして原審は、被告人の情状に関し事実の取調をしていること前示のとおりで

あるから、所論判例違反の主張は理由がない。

よつて、刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見により主文のとおり判決する。

昭和三四年五月二二日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

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